
【2025年】戸建て購入時にかかる税金は?主な種類と軽減措置を解説
戸建ての購入を検討されている方の多くは「購入時にどんな税金がかかるのか」「どのくらいの費用を見ておくべきか」といった税金のことで悩まれることと思います。
不動産の取引では、契約からお引き渡し、そして入居後まで、さまざまなタイミングで税金が発生します。
この記事では、戸建て購入時に必要となる主な税金の種類やタイミング、実際の金額目安、さらに税負担を減らすためのポイントについて、専門的な視点から分かりやすく解説いたします。

【購入時に1度だけ払う税金】3つの主な税金とタイミング
戸建ての購入時に、一度だけ支払うことになる主な税金は「印紙税」「登録免許税」「不動産取得税」の3種類です。それぞれ支払うタイミングと内容が異なります。
① 印紙税(支払うタイミング:売買契約時)
不動産の売買契約書を交わす際に必要となる税金です。契約書に収入印紙を貼ることで納税します。
契約の金額によって税額が決められていますが、現在は軽減措置が適用されており、税負担が軽くなっています。この軽減措置は令和9年(2027年)3月31日までに作成された契約書が対象です。
【金額の目安】
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 100万円~500万円 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円~1,000万円 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円~5,000万円 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円~1億円 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円~5億円 | 10万円 | 6万円 |
② 登録免許税(支払うタイミング:登記申請時)
購入した土地や建物を「自分のもの」として法的に登録(登記)する際にかかる税金です。
計算方法:不動産の課税標準 × 税率
課税標準には、原則として市町村が管理する固定資産課税台帳の価格(一般的に固定資産税評価額と呼ばれるもの)が用いられます。
③ 不動産取得税(支払うタイミング:入居から数か月後)
土地や建物を取得したことに対して課される税金で、入居から数か月後に納税通知書が届きます。この税金は、建物と土地で別々に計算されるのが特徴です。
土地・建物ともに、本則4%から3%へ引き下げる軽減措置が令和9年(2027年)3月31日まで適用されています。
【建物】
計算方法:(建物の固定資産税評価額 - 控除額)× 税率3%
新築の場合、条件を満たすと評価額から1,200万円が控除される軽減措置があります。これにより、評価額が1,200万円以下であれば、建物部分の税額は0円になります。
【土地】
計算方法:(土地の固定資産税評価額 × 1/2)× 税率3%
建物が一定の要件を満たす場合、土地にも税額が軽減される措置が適用されます。
【購入後に毎年払う税金】固定資産税と都市計画税
戸建て購入後は、毎年継続して支払う税金があります。それが「固定資産税」と「都市計画税」です。毎年1月1日時点の所有者に対して課税され、4月〜6月頃に自治体から納税通知書が届きます。
■ 固定資産税:土地と建物にかかる市町村税。税率は標準1.4%。
■ 都市計画税:主に市街化区域内の土地と建物にかかる市町村税。税率は上限0.3%。
これらの税金にも購入者の負担を軽くするための軽減措置が用意されており、適用されることで納税額を抑えることができます。
税金の負担を軽くする4つの軽減措置と注意点
税金と聞くと難しく感じますが、「知っているか知らないか」で支払う金額が大きく変わるのが軽減措置(特例)です。ここでは代表的な4つの制度をご紹介します。
① 不動産取得税の軽減
建物と土地それぞれに軽減措置があり、適用には原則として取得から60日以内の申告が必要です。
【建物】
先述しましたが、新築の場合、評価額から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)が控除されます。
【土地】
以下のAとBのいずれか高い方の金額が、計算された税額から控除されます。
A:45,000円
B:(土地1㎡あたりの評価額 × 1/2) × (建物の課税床面積 × 2) × 3%
Bの計算は、土地の上に立つ住宅の価値分を、土地の税額から差し引くという考え方に基づいています。
このBの控除額が大きくなることが多く、結果として土地の税額が0円になるケースも珍しくありません。
【計算例】評価額:建物が1,200万円、土地が1,000万円(150㎡)、建物の床面積120㎡の場合
■ 建物の税額(控除後)
(1,200万円 - 1,200万円) × 3% = 0円
■ 土地の税額(軽減後)
(1,000万円 × 1/2) × 3% = 15万円
■ 土地の控除額(上記のBで計算)
(土地1㎡あたり評価額 約6.7万円 × 1/2) × (床面積120㎡ × 2) × 3% = 約24.1万円
② 登録免許税の軽減
住宅用として不動産を購入する場合、令和9年(2027年)3月31日までに登記を受けることで、土地の売買や建物の保存・移転登記の税率が軽減されます。
登記申請時に、市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」の添付が必要です。
【計算例】課税標準:建物1,200万円、土地が1,000万円
■ 建物の所有権保存登記:1,200万円 × 0.15% = 1万8,000円
■ 土地の所有権移転登記:1,000万円 × 1.5% = 15万円
③ 固定資産税・都市計画税の軽減
令和8年(2026年)3月31日までに新築された戸建ての建物部分は、新築から3年間(長期優良住宅等は5年間)、固定資産税が1/2に減額されます。
また、土地においては、広さに応じて課税評価額が1/6〜2/3に圧縮されます。
【年間納税額の計算例】評価額:建物1,200万円、土地1,000万円
| 税金の種類 | 計算式 | 年間の税額の目安 |
|---|---|---|
| 固定資産税(建物) | 1,200万円 × 1.4% × 1/2(3年間) | 約8.4万円 |
| 都市計画税(建物) | 1,200万円 × 0.3% | 約3.6万円 |
| 固定資産税(土地) | 1,000万円 × 1/6 × 1.4% | 約2.3万円 |
| 都市計画税(土地) | 1,000万円 × 1/3 × 0.3% | 約1万円 |
④ 住宅ローン控除(減税)
住宅ローンを利用した場合、年末のローン残高の0.7%が所得税や住民税から最大13年間控除される、効果の大きい制度です。
ただし、入居した翌年に、ご自身で確定申告をする必要があります。
【2024年からの重要ポイント】
2024年以降に新築される戸建ての場合、原則として省エネ基準を満たしていることが適用の必須条件となりました。
さらに、省エネ性能のレベルに応じて、控除の対象となる借入限度額が変わります。
| 省エネ性能のレベル | 借入限度額 |
|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 |
| 省エネ基準を満たさない住宅 | 対象外 |
まとめ
今回は、戸建て購入にまつわる税金について解説しました。
一見複雑に思えるかもしれませんが、事前に種類やおおよその金額を把握し、使える制度をしっかり活用することが、賢い資金計画の第一歩です。
税金は金額や申請方法を把握し、事前に準備しておくことが大切です。理解を深め、納得して戸建てのご購入を検討しましょう。