
【2025年】生産緑地を宅地へ転用したい!メリット・デメリットや転用方法を解説
「生産緑地を宅地に転用するか迷っている」「どんな流れや注意点があるのだろう」そんなお悩みや疑問をお持ちではありませんか。
生産緑地は、税金の優遇を受けながら都市部の農地を維持するための制度ですが、所有者様の高齢化や後継者不足など、様々な理由で宅地への転用を検討する方が増えています。
この記事では、生産緑地の宅地へ転用するメリット・デメリットから具体的な手続き、判断の際に確認すべきポイントまで、分かりやすく解説します。

そもそも「生産緑地」とは?宅地転用の背景
生産緑地とは、都市部(市街化区域内)にある農地のうち、「30年間は農業を続ける」ことを条件に、固定資産税や相続税が大幅に優遇される制度です。1992年に始まり、都市の緑を守る大切な役割を担っています。
- ▼生産緑地の指定要件
- ① 市街化区域内の農地であること
- ② 良好な生活環境の確保に効果があること(公園や緑地としての機能を持つなど)
- ③ 公共施設等の敷地として適していること
- ④ 原則500㎡以上の面積であること(※市区町村の条例により、300㎡まで引き下げ可能)
- ⑤ 農業の継続が可能であること
これらの条件を満たした農地が、所有者様などの同意を得て、市町村によって「生産緑地」として指定されます。
近年、この生産緑地の宅地転用が注目される背景には、1992年に指定された多くの農地が、30年の期限を迎えたことがあります。
期限を迎えた所有者様は、「指定を解除して転用する」か、「特定生産緑地として10年延長するか」の選択を迫られます。延長を選ぶ方が多い一方で、後継者不在などを理由に、宅地にして売却したり、アパートを建てて活用したりするケースが増えているのです。
宅地転用は得?損?メリット・デメリットを比較
宅地転用には、資産活用の可能性が広がる一方で、税負担が増えるなどの注意点もあります。どちらも理解した上で、慎重に判断しましょう。
メリット
◎ 土地の活用が自由になる
売却して資金化したり、アパートを建てて家賃収入を得たりと、選択肢が大きく広がります。
◎ 土地の資産価値が向上する
一般的に、農地よりも宅地の方が評価額は高くなります。宅地に転用することで、土地そのものの資産価値の上昇が期待できます。
デメリット
▲ 固定資産税が大幅に上がるリスク
税額が安い「農地課税」から、一般的な土地と同じ「宅地並課税」に切り替わるため、税負担が大幅に増える可能性があります。
▲ 相続時に負担が発生する可能性
生産緑地に適用される「相続税の納税猶予制度」が使えなくなり、猶予されていた税金と利子税を一括で支払う必要が出てきます。
宅地への転用手続きの流れ
生産緑地はいつでも自由に転用できるわけではなく、手続きを開始するには特定の「きっかけ」が必要です。ここでは、その手続きの主な流れを4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:市町村へ「生産緑地の買取り申出」を行う
手続きの起点となるのが、市町村への「買取り申出」です。これは、主に以下の状況に至った場合に可能となります。
■ 中心となって農業を担っていた方が、死去した場合
■ その方が、ご病気やご高齢などにより農業の継続が困難になった場合
このように、客観的に農業の継続が難しい状況になった際、市町村に土地の買取りを申し出ることから、宅地転用の手続きが始まります。
ステップ2:市町村からの回答と「あっせん」
申し出を受けた市町村は、1ヶ月以内に「買い取る」か「買い取らない」かを回答します。
市町村が買い取らない場合、次に市町村が「この農地を取得して農業を営みたい」という他の希望者を探し、両者の間を取り持ちます。これを「あっせん」と言います。
ステップ3:制限の解除と宅地への転用
申し出から3ヶ月が経過しても新たな所有者が見つからなかった場合、生産緑地として課せられていた様々な制限が解除されます。
これまでは建築などができませんでしたが、この制限解除によって初めて、宅地にするための法的な手続き(農地転用届など)へ進むことが可能となるのです。
ステップ4:農地転用の届出と宅地造成工事
制限が解除されたら、次はその土地を農地から宅地へと用途変更する手続きです。市町村の農業委員会へ「農地転用」の届出を行います。
そして、法務局で地目を「宅地」と認めてもらうには、土地が実際に宅地として利用できる状態になっている必要があります。そのため、届出と並行または完了後に、必要に応じて土地の造成工事(地盤の改良や擁壁の設置など)を行います。
ステップ5:「地目変更登記」の申請
造成工事が完了し、土地が宅地として利用できる状態になったら、いよいよ最終手続きです。
管轄の法務局に対し、登記上の地目を「畑」や「田」から「宅地」へと変更する「地目変更登記」を申請します。この登記手続きは、専門家である土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。登記が完了すれば、法的にその土地が宅地として認められたことになります。
宅地転用前に必ず確認したい3つのポイント
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、転用を決定する前に以下の3点を必ず確認しましょう。
① 税金はどれくらい変わる?
転用後の固定資産税・都市計画税がいくらになるか、事前にシミュレーションすることが重要です。
正確な税額を把握するには、市役所の税務課(資産税グループ)に相談し、生産緑地が解除された場合の、固定資産税・都市計画税の概算額を確認しましょう。
② 土地の法的な規制は?
宅地に転用した後、どのような建物を建てられるかは、都市計画法上の「用途地域」によって定められています。
例えば、稲沢市内では「第一種低層住宅専用地域」の土地だと閑静な住環境を守るため、低層の住宅や小規模なお店など、建てられる建物が制限されます。一方「第二種中高層住居専用地域」では、病院や大学などのほか、床面積1,500㎡までのお店などを建てることも可能です。
ご自身の土地がどの用途地域に指定されているか、また、建物の大きさに関する規制(建ぺい率、容積率)については、市役所の都市計画課の窓口や、市のウェブサイトで提供されている「MAP de いなざわ!(公開型地図情報システム)」で確認しましょう。
③ 相続への影響は?
ご自身だけでなく、将来の相続人の税負担にも大きく影響します。土地の評価額が農地から宅地になることで、「相続税評価額」も上昇します。
2025年現在、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)」ですが、宅地化によってこの控除額を超え、相続税が多く発生する可能性も。
また、宅地に転用するデメリットでも触れた「相続税の納税猶予」が適用されなくなるリスクも考慮し、関係者ともよく話し合ったうえで判断することがおすすめです。
まとめ
生産緑地を宅地に転用する際は、法令や税制、申請手順など多くのポイントを丁寧に確認することが重要です。
メリットだけでなくデメリットや将来的な負担も考慮したうえで、ご自身の資産活用の方向性を慎重に見極めましょう。
もし少しでも疑問や不安な点があれば、ぜひ弊社へお気軽にお問い合わせください。お客様の状況に応じた、土地活用のサポートをいたします。
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