【2025年】土地の税金を軽減できる小規模宅地等の特例とは?適用要件も併せてご紹介
土地を相続したとき、条件次第では小規模宅地等の特例によって相続税額を抑えられる可能性があります。
小規模宅地等の特例を適用できる土地には、いくつか種類があり、要件について把握しておくと手続きがスムーズです。
今回は、土地の税金を軽減できる小規模宅地等の特例とは何か、特例を適用できる土地の種類や適用要件についてご紹介します。
土地の売買をする前に知っておきたい小規模宅地等の特例とは
故人から土地を相続したとき、大きな負担となるのが相続税の存在です。
小規模宅地等の特例とは、この土地にかかる相続税を一定の面積分まで減額できる制度になります。
土地本来の課税額を減額することにより、最大で80%もの税金を節税できる特例です。
小規模宅地等の特例が生まれた背景
小規模宅地等の特例が生まれた背景には、高度経済成長による土地価格の高騰があります。
これまで所有していた土地の価格が急激に上がったことにより、土地の評価額に応じて算出される相続税を支払えない方が増えました。
相続税を支払えないのであれば、相続放棄などで土地を処分せざるを得ず、その上に住宅が建っているケースでは自宅ごと失ってしまいます。
また、事業用の土地であれば、事業ごと手放すことになり、生計を立てられなくなってしまうでしょう。
相続人が住むところや事業を失うのを防ぐため、一定の要件を満たす土地については、相続税評価額を減額するとする小規模宅地等の特例が生まれました。
小規模宅地等の特例とは、相続人にとっての土地価格の高騰に対する救済措置なのです。
小規模宅地等の特例のメリット
小規模宅地等の特例を適用すると、相続税の負担を大幅に軽減できます。
遺産分割協議や遺言によって土地を相続したときに、相続財産が基礎控除額を超えると相続税が発生します。
小規模宅地等の特例を適用すれば、土地の相続税評価額を50~80%削減し、その結果、相続税額を大幅に軽減可能です。
これは、法定相続人のみならず、遺言による遺贈などによって財産を相続した方でも適用できます。
ただし、恩恵が大きいからこそ厳しい適用要件が設けられているほか、土地の種類ごとに細かく減額の程度などが設けられている点に注意しましょう。
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小規模宅地等の特例を適用できる土地の種類
小規模宅地等の特例を適用できる土地には、大きく分けて3つの種類があります。
これらの種類によって、どれだけの面積までの相続税評価額を何%まで減額できるのかが異なる点に注意が必要です。
特定居住用宅地等
特定居住用宅地等とは、故人が亡くなる直前まで住んでいた住居がある土地のことです。
故人の住居を配偶者の方が相続するのであれば、小規模宅地等の特例を適用するのに継続して住む、所有し続けるなどの要件はありません。
配偶者以外の同居親族が相続するときは、相続税の申告期限まで住み続ける、所有し続けるなどの要件があります。
持ち家がなく賃貸物件などで別居していた親族が相続するときは、申告期限まで所有し続けなければなりません。
一方で、故人が所有していた土地に配偶者や親族が住んでおり、故人の仕送りによって生活していたケースも特定居住用宅地等に当てはまります。
これも配偶者による相続であれば、とくに要件なく小規模宅地等の特例を適用できます。
配偶者以外の生計を同一にする親族が相続したときは、相続税の申告期限まで居住と所有を続けなければなりません。
特定事業用宅地等
特定事業用宅地等とは、亡くなった故人が事業をおこなっていた土地のことです。
所得税を計算するときは、事業所得に該当する種類の事業が対象となります。
具体的には、小売店や飲食店など、自分の事業のために使用している店舗がある土地がこれに該当します。
ただし、故人がおこなっていた事業を相続税の申告期限まで継続しておこなう必要がある点に注意しましょう。
これも故人自身の事業のみならず、個人と生計を同一にしていた方が故人の土地でおこなっていた事業も該当します。
故人が所有していた同族会社の事業用地にも、小規模宅地等の特例を適用できます。
このとき、特定同族会社事業用宅地等に該当するのが特徴です。
ただし、事業の内容が賃貸経営などの不動産貸付業にあたるケースでは、特定事業用宅地等にはなりません。
貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地等とは、故人が生前第三者に貸し出すための不動産を経営していた土地のことを指します。
事業を営んでいたとしても、種類が不動産貸付業にあたるのであれば、適用されるのは貸付事業用宅地等です。
なお、貸付事業用宅地等として認められるためには、相当の対価を受け取って賃貸経営をおこなっている必要があります。
不動産を貸している相手が親族で、賃料も相場よりも大幅に低い設定になっていると、貸付事業用宅地等と認められない可能性があるため注意しましょう。
さらに、故人が亡くなる前の3年以内に貸付が始まった不動産については、過度な節税を防ぐために貸付事業用宅地等と認められないようになっています。
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土地に小規模宅地等の特例を適用するための要件
小規模宅地等の特例を適用するときは、土地の種類ごとにいくつかの要件が存在します。
また、土地に建っている建物によっては、判断が難しくなることもあるため注意しましょう。
さらに、故人が亡くなるときに、どこにどのような状況で所在していたのかによっても、適用できるかは異なります。
それぞれの土地への適用要件
特定居住用宅地等に対して、小規模宅地等の特例が適用されるときは、対象となる面積は最大330㎡までで、その評価額は80%まで減額されます。
特定事業用宅地等では400㎡までが適用対象となり、居住用宅地同様80%まで減額可能です。
貸付事業用宅地等については、やや基準が厳しく、200㎡までの広さを50%まで減額できることになっています。
なお、特定居住用宅地等を同居していない親族の方が相続して小規模宅地等の特例を適用するには、故人に配偶者も同居の法定相続人もいないことが条件です。
二世帯住宅にも適用される
小規模宅地等の特例は、故人が住んでいた住宅であれば、二世帯住宅にも適用されます。
ただし、その二世帯住宅がどのように登記簿に登録してあるかが重要です。
該当の二世帯住宅が一棟の建物として認められれば、小規模宅地等の特例を適用できますが、区分登記されていると別々の建物として見なされます。
そのため、区分登記されている建物については、故人が住んでいなかった部分については、小規模宅地等の特例の適用対象外です。
なお、二世帯住宅を建てたあとに子世帯が転勤などで引っ越すと、同居親族としての適用の対象から外れます。
一方で、子1人だけが単身赴任をしており、その家族が故人と同居していたときは同居親族になる仕組みです。
故人が老人ホームに入居していたケース
故人が亡くなる直前に老人ホームに入居していると、所有する土地が特定居住用宅地等にあたるか判断に迷うことがあります。
老人ホームに入居していた故人が要介護認定を受けていたなど、特定の要件を満たせば、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例を適用可能です。
入居先の施設の種類は幅広く、ほかにも厚生労働省が作成した基本チェックリストに該当していれば、要介護認定を受けていなくても適用できます。
ただし、老人ホームに入居している間に自宅を賃貸物件として他人に貸し出していたときは、残念ながら小規模宅地等の特例は適用されません。
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まとめ
小規模宅地等の特例を適用すれば、相続した土地にかかる税金を大幅に抑えられます。
また、特例を適用できる土地には3つの種類があり、適用可能な面積や減額できる割合が異なります。
そして、二世帯住宅や故人が老人ホームに入居したあとの自宅にも適用されますが、いくつか要件があるので注意しましょう。
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